マウスは「鏡テスト」に合格し、自分自身を認識していることを示唆している

マウスは「鏡テスト」に合格し、自分自身を認識していることを示唆している

鏡を見ると、何が見えますか?おそらく、自分自身だとすぐにわかる複雑な形が見えるでしょう。そして今、ある研究チームが、マウスにも同じようなことが可能なことを発見しました。

そうです。マウスは、いわゆる「鏡テスト」に合格する哺乳類の少数派に加わった可能性があります。これは、マウスが自分の姿と他のマウスの姿を区別できることを示唆しています。「鏡誘導自己指向行動」として知られるこの行動を示した他の哺乳類には、ヒト、類人猿、一部のサル、イルカ、ゾウなどがいます。研究者たちは本日、マウスと鏡を使った実験の詳細をNeuron誌に発表しました。

「例えば日常生活における出来事に関するエピソード記憶を形成するために、脳はどこで、何を、いつ、誰が行ったかという情報を形成し、記憶します。その中で最も重要な要素は、自己情報、つまり自己の状態です」と、テキサス大学サウスウェスタン医療センターの神経科学者で本研究の共著者である北村隆氏はCell誌の発表で述べています。「研究者は通常、脳が他者をどのように符号化または認識するかを調べますが、自己情報の側面については不明な点が多いのです。」

黒い毛皮のネズミが鏡で自分を見て自分で毛づくろいをする。
黒い毛を持つマウスが鏡で自分の姿を見て自ら毛づくろいをする。GIF画像: Yokose et al. 2023, Neuron

マウスが自己認識できるかどうかを調べるため、研究者たちは暗い毛色のマウスの額に白いインクを塗り、片側に鏡を置いた箱の中に放しました。マウスは鏡を見て、毛づくろいをしました。これは、顔についたインクのしみを落とすためだったようです。白いインクが小さなしみだったり、毛に溶け込む黒いインクに置き換えられていたりすると、マウスは鏡の前で毛づくろいをしませんでした。

さらに、テスト前に鏡に慣れさせられていなかったマウスは、頭の毛づくろいをしませんでした。「マウスが鏡テストに合格するには、かなりの外部感覚刺激が必要でした。つまり、マウスの頭に大量のインクを塗り、そのインクからの触覚刺激によって、マウスは鏡の反射を通して頭のインクを感知できるのです」と、テキサス大学サウスウェスタン医療センターの研究者である筆頭著者の横瀬純氏は発表の中で述べています。「チンパンジーやヒトは、そのような余分な感覚刺激を必要としません。」

動物たちは頭に何かがあることをはっきりと認識していましたが、この自己認識は必ずしも動物たちがより深い意味で「自己認識」していることを意味するわけではありません。ギズモードが以前報じたように、鏡を使った実験は動物の知能や心理的複雑さを真に理解するための手段ではありません。

研究チームは遺伝子発現マッピングを用いて、自己認識を示したマウスで活性化するげっ歯類の腹側海馬のニューロン群を特定した。実験室環境でこれらのニューロンを機能不全にすると、マウスはグルーミング行動を繰り返さなくなった。同じニューロンは、マウスが同じ身体的特徴を持つ他のマウスを観察した際に活性化したが、毛色の異なるマウスを観察した際には活性化しなかった。

さらに研究チームは、離乳後に社会的に隔離されたマウス、つまり社会的な学習機会がなかったマウスは、額のインクを落とそうとしないことを発見した。白い毛のマウスと一緒に育てられた黒い毛のマウスも同様だった。これらのことから、自己認識行動を示すには、マウスを似たような外見のマウスと一緒に育てる必要があることが示唆された。

「これは、人が自分自身を見ているときだけでなく、親のような身近な人を見ているときにも海馬細胞の一部が発火するという、これまでのヒトに関する文献と一致している」と北村氏は述べた。

哺乳類以外の種も、実験が計画されている場合、鏡によって誘発される自己指向的行動を示している。カササギ、近々改名されるクラークズホシガラス、そしてクリーナーラスも自己識別能力を示している。

研究チームは現在、マウスが触覚刺激、つまり額の大きなインクの染みなしで自己認識できるかどうかを解明したいと考えています。この研究では、TikTokやInstagramなどのアプリで使用されているような顔を変えるフィルターを使用する可能性があります。また、マウスが視覚情報をどのように解釈し、他の動物とどのように区別しているかをより深く理解するために、マウスの脳を詳しく調べる予定です。

続き:科学者が初めて宇宙でマウ​​スの胚を培養

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